【<競馬>クラシック物語1995年】サンデーサイレンス初年度産駒の猛威

朝日杯3歳ステークスを1番人気で快勝したのはフジキセキ。この馬の父はサンデーサイレンス。今年度から産駒が登場し、いきなりG1制覇を達成。直近で10年ぶりの三冠馬が誕生したこともあり、フジキセキに早くも3冠がささやかれる。また、ラジオたんぱ杯に出走したのは、クラシック有力馬2頭、ナリタキングオータヤスツヨシ。この勝負は、タヤスに軍配が上がった。この馬の父も同じくサンデーサイレンス

 

年が明けるとサンデーサイレンス産駒に一矢を報いるべくナリタキングオーの逆襲が始まった。ナリタのシャドーロールに鞍上の南井。まさに昨年度の3冠馬を彷彿していた。そしてローテーションも同じ。まずは共同通信杯。年末に敗れたタヤスツヨシが後方でもがく中、あっさり逃げ切った。トライアルは、キングオーがスプリングS、タヤスが若葉Sを選択。残りの弥生賞には、3歳王者フジキセキが登場。

 

フジキセキは断然1番人気。直線先頭に立ったが、ホッカイルソーが半馬身差まで迫りよる。場内も一瞬ピンチかと思惑が走ったが、軽く加速し差を広げ、ちぎり捨てた。4戦全勝。強い。皐月賞も確実と思われた。しかし、突如の屈健炎発生、無念の引退。後々は、幻の三冠馬とも称された。

 

これにより、キングオーに期待が高まる。キングオーはスプリングSも見事逃げ切り、昨年の3冠馬と同じ道を歩もうとしていたが、体調を崩し、皐月賞パスする判断。若葉Sは、これまたサンデーサイレンス産駒のジェニュインが繰り上げながら、勝利を収めた。タヤスは進路妨害にあい5着に沈んだ。皐月賞は3歳時に有力とされた馬たちが順調に臨めず大混戦の様相を呈しはじめた。

 

皐月賞当日は、1番人気は東上最終便 毎日杯を勝ったダイタクテイオー。続いて、弥生賞フジキセキを脅かしたホッカイルソー。そのあと、ジェニュイン、タヤスツヨシが続いた。レースは、ダイタクが馬群に沈み、ホッカイものびず、岡部鞍上のジェニュインが番手から抜け出し、栄冠。タヤスが馬群を割ってきて2着。フジキセキ無しでサンデーサイレンス産駒ワンツーを決めた。ファーストクロップからこの成績は前代未聞といってよいだろう。上位2頭に2馬身遅れて、3着には穴馬オートマチック、4着にホッカイルソーが続く結果となった。

 

ダービートライアルで話題となったのは、またもやサンデーサイレンス産駒のサマーサスピション青葉賞を人気薄にもかかわらず、直線14頭抜きで制した。後のダービーのタイムよりも2秒も早いタイムであったが、骨折によりダービーに出走する夢は、はかなく散った。

 

ダービーの1番人気は直線が長い東京で有利とみられたタヤスツヨシ皐月賞馬はやや短距離向け血統と考えられ2番人気となった。キングオーもなんとか出走はできたが、スプリングSの頃の期待は出来ず、人気は落ち、レースでも精彩を欠いた。レースは前評判どおり、タヤスが大外を伸びてきて圧勝。2着は、皐月賞と同じく番手より抜け出し直線粘ったジェニュインとなった。またも、この2頭のワンツー。着順が入れ替わっただけであった。前の週、オークスサンデーサイレンスダンスパートナーが制した後であり、東京競馬場2400mを初年度で完全制圧した形となった。ちなみに、3着、4着は皐月賞から順位も入れ替わらずオートマチック、ホッカイルソーで、上位2頭との差もほぼ同じ1馬身半という珍しいケースにもなった。

 

 秋はタヤスの不調、キングオーの復活などがいろいろあり、菊花賞当日の1番人気は、なんとオークスサンデーサイレンス産駒ダンスパートナー。ダービー馬とともに直線見せ場をつくったが、5、6着に敗れる。勝ったのはブライアンズタイム産駒のマヤノトップガン菊花賞トライアル2戦連続2着の馬であったが、菊花賞本番でサンデーサイレンス産駒の牙城を崩すことに成功した。トップガンは年末の有馬記念も制し、年度代表馬にも輝いた。